京の辻から

名残を惜しみ、余韻を楽しみつつ

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

やれ私服警備員が、やれ万引き防止と

「当店は私服警備員が店内を巡回していますが…」と始まるアナウンスで、客個人も自分の手荷物は自分で十分気をつけるよう促される。 そこに続くのは「当店は万引き防止対策云々…」のアナウンス。 これがセットで繰り返される書店に、ちょっと遠出をした折に…

図書館は異なる文化を結ぶ

3月の初めに知人が何気なく話題にして帰られた『あの図書館の彼女たち』(3/7記)。早速書店に走り、勢い込んで読み始めたものの、翻訳の文章に慣れないせいか半分ほどは展開を読むだけに追われた。個人の名前が定着し始め、ドイツ軍がパリに侵攻してくるあ…

春は空から

潤いのある霞んだ空が春天と言えるようだが、春を知らせる風が吹き、ものの芽が土の塊を除けて顔をだす。 「春は空からさうして土から微かに動く」(長塚隆節『土』)と書かれた感覚に共感しながら、近づく春を心待ちにしてきた。 花数が年々減るが、ようや…

ぼてじゃこになったらいかんえ

「草津駅(滋賀県)のプラットフォームは、底冷えと音を立てて吹く風に、吐く息まで凍てつくようで痛かった。 〈比良の八荒、荒れじまい〉 湖国に住む人たちは、この琵琶湖を中にはさんで荒れ狂う風を、そう呼んでいる。 しかし、この風がすめばもう春、そん…

女の身でも極楽往生信じ

「莬芸泥赴」という、貞観元年(1684)に北村季吟が著した神社などの由来・遍歴を記した文書があります。名所、名勝記でもあるようです。 なんと読むのかです。「莬芸泥赴」は「つぎねふ」と読みます。 その「莬芸泥赴」で季吟は、和泉式部寺と呼ばれ親しま…

二上山憧憬(しょうけい)

学生時代に所属していた研究会の旅行で當麻寺宿坊に泊まり、翌日、山頂に葬られた大津皇子を訪ねて二上山を目指した年があった。 12月も半ばを過ぎた頃。時に上から伸ばしてくれた手にすがって引き上げてもらい、辿り着いた雄岳山頂の明るさは今でも眼裏によ…

ナンバープレート

前を走る車のナンバープレートに、いわゆるご当地ナンバー「飛鳥」が表記されていた。 飛鳥とは、初めて見た。 よくよく見ると、8.9.10.11画目の点の向きが4つそろって右から左下へ、 となっている。 というわけだ。 うーん、これはちょっと残念だったが、「…

鈴とむつんで1600キロ

足元の一輪の花を愛で、心を凝らし、耳を傾けながら、うらうらとした陽気を楽しんで歩いているのは、まさに精神のセルフケアと言えそうだ。 周囲の森では、木をつつくような音が響いていた。コゲラという鳥を思い浮かべた。 トンビが地上に影を落とす。静か…

BUTSUDORI ブツドリ

ウグイスが鳴いた。 近江の人に誘われて「BUTSUDORI ブツドリ : モノをめぐる写真表現」展開催中の滋賀県立美術館に行った。車を駐車場において、歩きだして間もなくのこと。花の盛りを過ぎた山茶花が道路脇には連なるが、姿は見えない。 「えーっ、ウグイス…

わがこと・自分事

14年前の3月11日の夜。 私はインターネットを通じて知った〈FMいわき〉を頼って、福島県いわき市に住む伯父夫婦の安否情報を求めたのだった。 「伯父さん、無事だったら連絡を」という趣旨だったが、電話も通じないかもしれない状況下で、高齢の二人におかし…

ひとりのつぶやき

なんとはなしに周囲を明るく染める気配だったのが、色味を濃くしてきたのを見知れるようになってきた、よそさんの梅。 どんな具合だろうと、この時期は何度か足を向けている。 7日投稿文の最後の一文を削除した。 タイトルにしようとしていた言葉だったから…

置き土産

道すがら、ご近所さん宅の塀越しに2階にも達しようかという白梅を見あげて立ち止まった、 梅は枝ぶりの良さも賞賛されるのではなかったかな。 馥郁とした香りを幾度も吸い込んで、右にまわり左にまわりと眺めた。 古木には古木の佇まいがあるのだからと、我…

礼儀正しく、と

曽野綾子さんの訃報を目にした。 93歳。有吉佐和子さん、瀬戸内寂聴さんとともに「才女時代」の到来と注目された、とある。一冊の小説も読んでこなかったが、『人生の収穫』『人生の旅路』をずいぶんと昔に読んだことがあった。2冊の著書の中から、それぞれ…

縁に咲く華もある

昨年の大河ドラマは(ああ、ドラマだなあ)と思いつつ、途中パスする回もでてきたが、今年の「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺 」は、はるかに興味を持って観ている。江戸の出版文化が作られていく過程が、蔦屋重三郎を通してどう描かれるかに関心がある。 山東京…

思い出の器

「折に触れての幸せはおもいだすことばのあること」 と西野文代さんの著書にあった。 娘家族が5年間ほど大阪に住まいを移していたとき。 長女の孫娘が小学校卒業を控えて、家族でやって来た。雛膳づくりに一緒に包丁を持っていたとき、突然、娘の悲鳴にも似…